ここからしばし、グレイと一緒に観光します。
言語の異なる異国情緒は国内旅行では感じられないものですね。
てかグレイ、まだ旅行気分なのね?
女主人ウルラの「ちび船長が独立の仲間を連れてきた」の台詞、今考えたらちょっとエモい。
大衆浴場の文化は、欧州にも古くからありました。
だから、古いホテルに行くと、シャワールームは後からつけているのがわかりますよ。
ウィーンに滞在したときは、少し割高ですが日本人の女性というウィークポイントから自分を守るためにそういう部屋をとりました。ご主人、英語で話しかけてくれて優しかった。一応ドイツ語は聞いてわかるくらいなので、たどたどしく話しかけたけれど、むりしないでいいよってね。
スパとしてそのまま生き延びてきた湯治の地も結構あります。
フィンランドはサウナですけども、いずれにせよ汗を清水で流します。
saunoaという「サウナに入る」という動詞は、もちろんフィンランド語です。
日本語で言うなら「風呂る」かな。
スパ文化が発展、継続している地域は古くから衛生観念が強いようにみうけられます。
ということで、混浴は、なし。
でもそれは大正解。
ミルちゃんがはっぱかけてきたシーンは「いるの?」と家人に問われた場面ですが、要るでしょうよ! やきもちだぞ!
女の子は勝手にやきもちやいて、勝手にぐるぐるしてしまうものなんですッ!
ハイ、翌日。
しんどい山登りです。
北欧では、日本の山とは違って、つづら折りの散歩ルートがある山が多いです。
そもそもの傾斜も緩やか。黒岳のつもりだったら拍子抜けするかも。
というか、日本の山並みが険しいんですよね、火山性のものがおおく、隆起した山々だから。
それでもずっと坂道を登り続けるのはしんどいものです。
涼しい顔のエイノから〈海の民〉と〈山の民〉とか知らない言葉が出てきますが、まあ、そのうちわかることなので。
彼とミルちゃんが遠慮なく言い合うのにただ挟まれるだけのグレイ、居心地の悪さよ。
二人とも、グレイが気になっているだけなんですけどね。
次は建物の観光。
ロフケシア王立図書館は、立地と外観はベルゲンなんですけど、中身は大英博物館の閲覧室をモデルにしています。ロゼッタストーンのレプリカが置いてあるところです。行きました。高熱出してたけど、行きました。
採光窓のすみっこでもいいからすみたい、大好きな場所です。
イギリスには数々のゴースト・スポッツがありますが、大英博物館もその一つ。
でも、わかるなあ。知と時代が淀んだ居心地の良い場所だもの。
そしてゆらりと姿を消そうとしたミルちゃんを追うと、〈三本の薔薇〉の話がはじまります。
ついでに王族の宝の話も。
エイノが助けて欲しい人が誰かは、ミルだけがわかったのです。
『煌めき屋』でも、彼はそれだけのためにリュスラーナを訪れたわけで。
知的で不器用な男、わたし、嫌いじゃないですよ。
1-3-3、おわり。
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