1-1-5、場面は変わり、地上のソーン城。
視点はミラーに固定されています。
男ばかりの騎士の城で、小柄な美少女は目立つ、目立つ。
ミラー自身はそのまなざしに居心地の悪さを感じて萎縮していますが、それが憧れからくるものだとは理解していないみたいです。自分が美人であるとも。
ソーン城のイメージは、実際に歩いたオックスフォード大学。
映画ハリーポッターのロケ地で、アリス・リデルが遊び場にした場所、そして優秀な学生を育てる学び舎として有名な、あそこです。行きました。その日は高熱を出していたのですが、どうしても行きたくて。
古くからあるティールームでクリームティーもしたし、昔からの音楽ショップで楽譜も文献も仕入れて、ああ、本当にやり切った日でした。
それで、ミラーですけども。
状況と内情の両面を教えてくれつつ、おぢさんたちから可愛がられ、突然面倒を押し付けられる。そういう役割を担っている日常が、突然変わってしまうわけですが……。
全くの新顔、シアを迎えるここでは、ラインとミラーの人格と関係性が見えてきますね。
二人はすでに四年の付き合いがあって、ある程度省略した物言いをしあいます。
それゆえにラインがどうともとれる発言をしたりするんですけれど。
ちょっとしたショックで、ふらりときたミラーを抱き留めるのも、お手のものですよ。
『愛し子に鞭打たんとして、獅子の子を落としにけり』
これは故事成語からきています。
《獅子は、子を生むとその子を深い谷に投げ落とし、よじ登って来た強い子だけを育てるという言い伝えから》自分の子に苦難の道を歩ませ、その器量を試すことのたとえ。
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いきなりじゃわからんと思いますので「いとし子に鞭打たんとして」を付け加えました。
格言、故事成語、ことわざ。そういうものは、どんな文明の世界にも温故知新、存在するものとして扱っています。言った人が違うだけで、ね。
まあ、そういうことで、言葉を額面通り受け取るラインと、知恵者のミラーのやり取りで、セルゲイの手紙を解説してくれます。優しい。
ちょびの面会は、いいかな。
まあ本人に会わなければね、納得は行かないわよね。
だって5年前はやんちゃ坊主だったんだから、グレイは。
そして二人の腹心は、不思議なシアをグレイに据えてお城でお留守番となりました。
だって二人とも強いんだもん。
1-1-5、おわり。
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