2019年5月29日水曜日

〈制作秘話第四回〉1-1-3

一人になると、肩ひじ張っていたものがすうっと抜け落ちて、でろーんとなりますよね。
グレイも同じだったみたいです。
一人きりで見送る夕焼け空こそ、わびしいものはなけれ。
この昼と夜の交わる薄紫色は、とってもミステリアス。
既に示唆されている……されているのです……。
ああ、あのピンクとも水色ともつかない、幽玄で透明な淡い紫色ね。
とあなたが想像できたら、こっちのもの。
そして突然現れるのです。
おなじ色をした瞳を持つ、とびっきり顔の整った女の子が!

……なんて未来がくるなどとは思わず、グレイちゃんはいじけてお布団にゴロン。
彼を抱きしめてくれるような人間はもういないので、自分で腕をさすってあげることしかできない。ちょっとおセンチ。

そして暖炉で爆発音ですよ。
暖炉が夏休みをもらっているの、ちょっとスキ。
そういえばおととい、家の炬燵に夏休みをあげました。
エアコンはそろそろ春休みから復活だ。こきつかってやる。

「嘘でしょ!」の一声で、女の子だ!ってわかるの、いいよね、いい。よくやった、えらい。
そんな感じで急いで暖炉から転がり出てきたミルちゃんですが、そう、暗いところが怖いのによく一人で来たよね。グレイのところに行くんだって、一人で来たのね。もうやだ。なんかニヤニヤしちゃいませんか。この理由の一つは『銀色乙女のタランテラ』の最後で明かされているわけで、本編でも〈インキ・マリ〉とかでほんのちょっというぐらいなんですけど。ただの勇気だけじゃないよね、きっとね。好きか嫌いかでいうと好きだよね。恋になるかは知らないけど。知らないけど!!!
さっきまで「あのとき、俺も……」とか言ってた男に「死にたくないでしょ?」って見開きで対応して気分を切り替えさせてしまうミルちゃんって、すごいヒロイン力。

ゲームだったらチュートリアルバトルになるだろう(まだ言ってる。これからも言う)トカゲバトル、トカゲちゃんを調べているうちにちょっとかわいそうになって、殺さずにおこうと思ったんです。結構怖がりさんなんですってね。それが図らずも、グレイの信念の一つ「不殺」に一致したわけですが。

それにしてもいちいちミルちゃんが先輩風吹かせている。ふてえ女です。
でも、グレイとってはほとんど初めての「普通の女の子」なので、これぐらい自分勝手でわがままで、お転婆でじゃじゃ馬で、自尊心がちゃんとある女の子でなくてはならないのです。
4年間のテュミルの冒険が、彼女をそんな風に強くたくましく育てたんですから。
それに、これぐらい肝が据わってないと、国を取り返そうとするグレイのバディになんかなれっこないわよ。
でしょ。

そのあとの急接近は、きちんとドキドキしてもらえたでしょうか。
こんな落書きもしてましたわ。
かわいいよねーミルちゃんって。
読めないしはぐらかすし。
たまんねーなー。
と、いうところでミルちゃん登場の1-1-3はおしまい。

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