1-1-4後半です。
マジカルな話がここでやっと出てきます。
ミルが使う魔術書、魔術は人為的に魔法現象を呼び起こすので魔術Magick、
ルヴァやリシュナのように、その血に魔法を扱う能力を宿すものが魔法現象を引き起こすのが魔法Magicという風に、実は綴りからして意味が違ったりします。
センス・オブ・ワンダーを第六感とするなら、第七感が魔法、というのが私の考えです。
この第七感は、自然に存在するマナを言葉や念やらでぎゅっと集めて収縮させて現象として発現させるもの、というふうにしています。結局、詠唱も精神集中のためのツールでしかないので、一般人が唱えたところで魔法は伴わないのです。
ただ、魔術書という媒介があれば話は別なのです。
術者の念がなんらかの形――写字であったり、枕にして眠ったり――で宿っているのを利用して、魔術を発動させることができます。
それから、ワニアや魔術師が使う言語は、私が作りました。
フィンランド語の原語は3000語しかない、という話を聞いて、ああ、人間が意思疎通に必要なプリミティブな言葉ってそれだけあれば十分なのね、と思って、自宅から空港へ行くバスの中の一時間ぐらいでざざーっと考えました。
語幹はラテン語、名刺化はフィンランド味、語尾や格変化もフィンランド味にしてありますので、missa mista mihin がわかる方なら意味するところがたちどころにわかる仕組みになっています。その文がどんな構文なのか一発で解る、アイルランド語の味もいれてあります。いずれも日本語と対応した教科書が少ないんですけどね、てへ。
だから、アルファベットでみれば文法がわかりやすいんですよ。
ちなみに初出は『探偵王子とフォルトゥーネ』です。
小説のほうに戻ります。
グレイとミルが、お互いの情報を小出しにして様子を窺いあってます。
そう、常識に差異があると情報共有はいとも簡単に、手短にできるのです。
〈ヴァニアスの神子〉という神秘の存在や
「この件こそ、門外不出だ。」
と、グレイの秘密についてのフラグも、ここで立ててありますね。
でっかい鼠さんとか、げっ歯類なんて怖いと思うのですが、よくぞ対処の一言で片づけた、グレイよ。
通常バトル曲です。エレキがダサいのごめんなさい。
そして暗いのが怖いミルちゃん。
私が7歳の時の、TDLでのシンデレラ城ミステリーツアーの記憶と重なるんだなあ、とふと思います。そのあとも欧州で城塞都市の地下やらなんやら、いくんですけども。それにしてもあのときの、先の見えない恐ろしさと言ったら、なかったです。
ヴィランたちが呪詛を吐きつけてくるし、勇者はもういないとかいうし。
暗くて、空気がとっても冷たくて、白い光が一つも差さなくて。
私や、そのとき手をぎゅっと握っていた父にはいまや美しくて微笑ましい思い出ですが、思い出せば7歳のときのあの心持ちはありありと蘇ります。
でも、小説を書いているときには、自分の記憶と感情を、物語や登場人物に重ねたりはしません。
絶対にです。
重ねるとするならばそれは、匂いだったり肌感覚であったり、光や色、音、その場所でしかありません。「こういう場所なら、きっとこうだわ」というシミュレーションだと言えば、伝わるでしょうか。
だから、ミステリーツアーのお話は、私だけのもの。
ミルちゃんがどうして暗いのが怖いのかは、これから明らかになっていくことでしょう。
でかカエルさんの登場です。
私、カタツムリは大好きで、いくらでも巨大化してくれて構わないんですけど、カエルさんは小さいほうが好きなんですよね。
それはグレイも同じだったみたいです。
剣を構えて少し落ち着く、でも顔は強張ったまま、っていうのがリアルな緊張感ですよね。
武器――私にとっては楽器だったり、ペンだったりですが――を手にしている時間が長くなればなるほど、持っててもお守りにはならなくて、むしろ自分の髪の毛みたいに拡張された自分の体になります。
そういう点では、やっぱりまだまだ、ラインには敵わないんだね、グレイ。
素の文でさんざん名前を呼び散らかしているのであんまり感慨深くなくなっちゃったんですけど、ミルちゃんが5年ぶりに「グレイ」って呼んでくれるの、ウインクのおまけつきで。気持ちが暖かくなりますね。
戦意のないカエルさんはお食事中です。
蜂とかもそうですけど、自然の生き物が人間を敵視するときって、命が脅かされたときだけなんですよね。だから、そうじゃないときにエンカウントしたところで、警戒もしくは放置ぐらいがリアルなんじゃないかな、って思います。相手が肉食で、かつハラペコでないかぎりはね。
ボス戦曲です。
シャンシャンドコドコうるさいです。
あと毎度絵が古くて死ぬ。
BメロのエレピはグレイのテーマのBメロを移調してあります。
決意や勇気のテーマにあたります。
Cメロ(三拍子になるところ)はOP曲を圧縮した変奏です。
つづくD部分は、運命のテーマ「君影草」というモチーフです。
君影草とは、スズランのことで、「君影草」は〈彼女〉のテーマになります。
君影草のオブリガードにはOP曲BloodySnowのテーマが。
私一人が胸アツな感じですが、共有出来たら嬉しいです。
さて、カエルバトルの最中、やっと「ミル」の愛称が提示されます。
それまでお互いきっかけがなかったのね、うんうん。
「ねえ、ちょっと抱いてくれない?」
は半ば義務のようにやりたかったお色気一言だったりします。
というか、トドメ?
一年たって、グレイがふつうに庇えばよかったんじゃ、とも思います。
でもそれじゃあなあ、グレイが心配して怒鳴るだけじゃんね。
かといって男を突き飛ばす腕力なんてミルちゃんには無いし、やっぱり体重をかけて体ごと押し倒す(水路へ)しかないよね。
と、いうところで、ボス戦は終わったのでした。
置手紙というアウフタクトをのこして。
1-1-4おわり。
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