2019年7月1日月曜日

〈制作秘話第二十二回〉1-3-5前半

〈ケルズの書〉はご存じでしょうか?
簡単に言えば、キリスト教の儀式用の聖書です。
八~九世紀に作成された装飾写本の傑作で、アイルランドの国宝とされています。
本体が収蔵されているアイルランド・ダブリン大学トリニティ・カレッジ図書館(”The Library of Trinity College Dublin”)の公式サイトでデジタル版が公開されていますので、興味があればご覧ください。
近年では〈ケルズの書〉の世界を冒険するアニメーション映画『ブレンダンとケルズの秘密』が公開されています。
岩波書店からはレプリカも出ています。写本好きな方にはおすすめです。私も持っています。

で、1-3-5なんですけど。
〈叡智の書〉は、〈ケルズの書〉や鎖でぐるぐる巻きにされての閲覧制御、持ち出し禁止の禁書などに系譜を持たせてあります。だからヴェラムでできているのです。
それにしても、306pみたいにきちんと世界を描写してある部分については言うことがないなぁ。

ユッシとグレイが初対面。
「三羽のカラスだっけか」
「そんな歌もあったな」
のやりとりの『三羽のカラスThree Ravens』はこちらがモチーフです。イギリスの古い歌で、こちらの版は1611年初版。

"There were three Ravens sat on a tree,  Downe a downe, hey downe, hey downe.
They were as blacke as blacke could be-with a downe
Then one of them said to his mate, 
Where shall we our breakefast take? with a downe derrie, derry, derry, downe, downe

セシル・コルベルが同詩からヒントを得て作った同名の曲のほうが、親しみやすいかもしれませんね。
それがヒントになって、〈三つの薔薇〉という鍵をみつけられるわけです。
「えどとそとでる」
という泣き虫の本の精霊が登場したところで、前半おわり。

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